(Ruupa)|ルーパ|スガノ・サカエ

tochka(トーチカ)

時間の隙間をパレードするカラフルないたずら描き。 「PiKA PiKA」の世界で、みんなニッコリ。

tochka× Ruupa
Portrait & Text / 三浦晴子
Interview Data / July, 2008 at Ruupa

「トーチカ」はナガタタケシさんとモンノカヅエさんによるクリエイティブユニットです。闇のなかに光でラクガキをするプロジェクト、「PIKAPIKA」についてお話を伺いました。7月に蔵王坊平高原でワークショップを開催予定です。

「pikapika」は意味合いやコンセプトをあまり考えなくても、ストレートに入っていける楽しさがあると感じたのですが、制作においてのコンセプトはどんなものなのですか?

T/N:(トーチカ/ナガタさん):コンセプトというか、きっかけっていうのは、元々はアニメーションをつくるワークショップっていうのをやろうってことで、神戸でアート林間学校っていうイベントをやってたんです。20~30人くらいのアーティストが集まって、夏休みに子供向けのワークショップを毎日やるというような。そのアート林間学校のイベントを毎年やっていて、その年は、大人も一緒にできるようなことをしようという企画になったんです。そこで、どんな人が集まったかっていうと、3歳から60歳までの人達。ターゲットが絞れなくなってしまい、とりあえず、どうしたらアニメーションをわかり易くて、簡単で、すぐに見れるものにできるかなっていろいろ試したんですよ。そのなかの一つで、ライトの残像で空中に描くだけっていう方法で絵を描いたら、みんな一片にできるし、おもしろいかなって。それでやり始めたんですね。そしたら自分らが思ってた以上におもしろくて、「あっこれはなんか続けたらおもしろそうだな」って思ったんです。でも、それはそこで終わっちゃったんですね。そのあと、[mixi]の映像好きな人のコミュニティーで募集してみたんです、オフ会として。みんなが集まって、街なかで〈pikapika〉をやったりするようになったんです。そんなことをやっているうちに、なんかこう浄化されるっていうか・・・。みんな仕事をして疲れていたりとか、ものを作るってことが好きだったはずなのに、それ自体の行為に疲れていたりとか。普通のデザインとか、グラフィックとかを仕事にしている人たちが、なんとなくリクリエーションというか、あのリハビリみたいな感じで、復活するというような。pikapikaをやることでみんなが「つくるのってやっぱおもしろいよね」ていうことを再認識するっていうのができたらいいなと。 L.Aからクリエーター友だちがたくさんで遊びきた時に、バーベキューをすることになったんですが、中には初めて会う人同士もいたりして、友達が連れて来た友だちだとか。で、お酒もはいりつつpikapikaをやってみることになったんです。それがちょうどディレクターだったりとか、イラストレーターだったり漫画家だったり。そこで一緒に描いた絵がとにかくすごいおもしろくて、そういうものとしてやったらおもしろいんじゃないかなって考えたのがきっかけです。

pikapikaが、コミュニュケーションツールにもなっちゃったんですね。実際、アニメーションとしてちゃんと光の線を動かすのは大変そうですが、イラストレーターとかじゃなくても、誰にでもできるものなのですか?

T/N:あのそうですね、一枚だけで描きたいって人もいるし、アニメーションにそんなにこだわるわけではないんです。ただ最終的に残るものとしてアニメーションにしているんですけど、ジャンルに分けたときにそういったところに入れたい気持ちがあったんです。元々ぼくらは10年間ずっとアニメーションに関わるお仕事ばっかりやってきていて、そういった場所で出したいなと。

二人でアニメーションを作ろう的なことが先にあって、後からみんなが集まって来たのかなって思ったんですけど、仲間やコミニケーションが先にあって、それが自然と膨らんでいくかんじだったんですね。

T/N:そうですそうです。まわりでいろいろな人が重なっていって、重なったその人がまた「おもしろい!」って自分らのブログとかで書くんですよ。そうするとまた次のやりたいっていう人が集まってきて「じゃあいつやろうか」という感じで、連鎖的に繋がっていくんです。

私も東北ではやらないんですか?っていうメール送ったじゃないですか。私の友だちも同じように、メールを送ってたそうで、それにもちゃんと返信してくれたって、喜んでいましたよ。

T/N:忙しいときは、そうそう返したり返せなかったり。毎日すごいたくさんくるから、なかなか全部に応対できないところがあるんですけど。

ものを作る人って「これをやりたい」ていう一人の想いが先行して、みんなで何かをやるって行為に違和感があるのではと思っていたのですが・・・。

T:それももちろんありますし、ぼくらの作品のほとんどは、そういう感じですよ。作家さんっていうのは「こういうのを作りたい」とか、そういう制作する場を提供してくれる人がいて「じゃあどういったことやろっか?」っていうところからつくる場合が多いですけど。でも、pikapikaに関してはもっとなんか全然違うものとしてやっていると思います。考え方として。

すごく強い主張を押し付けられてる感じじゃなくて、何も言わなくてもただ「うわーっ!」「おもしろいなー!」ってストレートに思えるのが、すごい気分がいいですね。

T/N:それが一応コンセプトなんで、その言葉をこえてコミュニケーションをとる面白さみたいなものがかたちになったり、言わなくても伝わるような何かがないとなっていうことを考えていて、ぼくらはそこを仕掛けるのが仕事だと思っています。例えばワークショップとかその野外でやるときも、来た人みんなが、いかに楽しくできるかというのを一番考えていて、だから自分たちが「見せる」とかいう感じではなくて、みんなが楽しく参加できるというのを一番に、大切に思ってます。

みんなで楽しくやることが前提にあって、なっとなく境界がゆるい感じですね。

T/N:そうだと思います。そうだと信じているんですけど。だから結構コマーシャルなんかで最近受けた仕事とかは、大変なんですよ。やる時に。

R:コンテを描いたような絵が、きちんとアニメーションになっている作品もあるじゃないですか。そういう完成したものを求められるですか?

T/N:えーと、そこもまた微妙で仕事によって全部違っています。既に描いて欲しいものがある場合、受けないときもあります、あまりにも難しいとか。それでも、そういう楽しい雰囲気が伝わるようなものにして欲しいって言う場合だと、どこまでつくり込んで、どこまでのバジェットで、それをどうやって仕上げるがすごく難しいいんです。今のところまだ器の中でやっているかんじ。ちゃんと受けた仕事としてつくる映像は、今のかんじでは納得いくものになってないのかな。映像作品として考えるよりは、シーン、シーンっていったら変ですけど、そういったムーブメントっていった形のものになるんじゃないかなとは思っています。実際にその僕らの知らないところで同じことやってる人いっぱいいて、それもなんかおもしろい。

pikapika以外のものでは、どんな仕事をなさっているんですか?

T/N:僕らはアニメーションを得意としていて、CGや実写、クレーンアニメみたいなのもあって、結構なんでもやるんですよ。CGワールドっていう雑誌で毎月連載をもっていて、CGやいろんな素材を使ったアニメーションとか、映像をどうやってつくるか、ていうのをやっていて、できあがってものやその過程をとおして、全部をなぞってみんなができる形にしているんですけど、それの記事とかホームページで紹介しているものとか、仕事として作っている映像もいろいろあって、それを一応「トーチカファクトリー」というくくりで、ぼくら2人だけでなく、プラスアルファーいろんな人と一緒にやっているんです。僕が大学で教えているのもあって、学生たちもいっぱい参加してます。

結構、簡潔であっさりやってる印象ですが、個人的な想いをもりこんだ作品づくりなどはどうですか?

T/N:でも僕らの昔の作品とかは、結構ね、アングラっぽいっていうかグロいのがありまますよ。グロいっていうか、血が出たりとか、なんかそういうのすごい好きだった。

T/M(トーチカ/モンノさん):私は好きじゃない(笑)

T/N:好きじゃない?

T/M:私はあんまり好きじゃないから、そこで方向性の違いが・・・。

T/N:だから、すごいもめることが多いけど、定まらないわけだから真ん中とったようなものをつくったり。

さっきのイベントでのやり取りを聞いてて、結構はっきりと、「それは違う」というような意見を言い合うみたいな場面があったんですが、そこから結論をだすまでが凄く早くてびっくりしました。根本的に気があっているのが凄いですね。

T/N:ある程度お互い信用している部分があるから、その分野はそっちだよね、そっちはそっちだよねみたいなとこで、もうね、割り切っているよね。

T/M:うん。でも20代の前半は随分もめたね~。

T/N:もめたね~。何をするにももめるっていうか。仕方ないんですけど。近いようで遠い、遠いようで近くて、分野が。彼女(モンノさん)が洋画の油絵専攻で、僕が映像の実験映像みたいなことをしていて、なんかアートの部分が一緒なんだけど。でも結局は何を作りたいとか、どういうことを表現したいかってところで、衝突するから難しいんです。でも、僕らの場合、結構もう答えがあったりするんですよ。

Tochka (トーチカ)

トーチカはナガタタケシ、モンノカヅエによるクリエイティブ・ユニット。光のアニメーションプロジェクト「PiKA PiKA」の制作や世界各地でワークショップを開催する一方、「UNIQLO JUMP!」(2007)やSo-netとタイアップ制作した「PiKA PiKA×So-net プロジェクト」(2008)等の企業広告、音楽PV制作でも活躍する注目の存在。2006年オタワ国際アニメーション映画祭特別賞受賞、2007年第10回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞。2008年2月、世界最大の短編映画祭「2008年仏クレルモンフェラン国際短編映画祭」のLabo部門にて「PiKA PiKA, Lightning Doodle Project」がグランプリを受賞。同年5月にはインドネシアで開催された日本現代美術展「KITA!! Japanese Artists Meet Indonesia」にも参加しています。「PiKA PiKA×So-net プロジェクト」ではトーチカの「PiKA PiKA」が、みんなの「PiKA PiKA」となり一般公募作品として楽しまれました。

Tochika オフィシャルサイト http://tochka.jp/

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